突発的に。

人恋しいのは、この季節特有ですか（笑）
そんなワケないですけども……。

追記で突発ジェイルクＳＳ。
本当に突発的ですよ、ね……。

「大人の意気込み」

　夜の道を歩く。
　しとしとと濡れた道は空気を湿らせて、肌に気持ち悪い。
　それでも歩けるのは、心地よい風と、月の光が綺麗だから。
　すたすたと歩く。
　目的地は一つ。
　グランコクマの公園の噴水だった。
　たまたま寄った首都で、どうせなら報告をしておきたいと言ったジェイドが自分の手に渡してきたのは小さな紙切れだった。そこには丁寧な文字で、待ち合わせの場所と時間が指定してあって、慌ててルークはポケットにそれをしまいこんだ。
　二人きりで会うなんて久し振りの事。
　胸が高鳴った。
　そうして昼間は別行動。
　ルークは仲間と一緒に買出しや宿の手配を済ませた。ピオニーの好意で宮殿に泊まることもできたが、甘えられないと今回は断ったのだ。第一、宮殿に泊まると宴会やらなんやらで翌日の出立が遅れてしまう。
　グランコクマに来た時は、ジェイドも自宅に帰るからジェイドの分の部屋はいらなかった。
　宮殿に遠慮したルーク達のためにかピオニーが宿代をもってくれて、一人一部屋と、滅多に無い大判振る舞いの部屋割りを与えられた。買出しも何もかも終わった頃には、４人の仲間もそれぞれ散っていた。
　そうして、ルークも。
　一人歩いていた。
　しとしとと、歩く。
　ひんやりした空気が首筋を撫でる。
　約束の時間よりは早くつくように宿を出た。
　夕食を取っていないからか、軽く胃の辺りが冷たい。
　それでも心だけはやたら上機嫌で、足取りはとても軽かった。
「おや、ルーク。お早いお着きですね」
　声をかけられ、声のした方を見るとジェイドが立っていた。まだ待ち合わせの噴水までは距離がある。街角でお互いに出会ってしまったらしい。これでは待ち合わせの意味もないが、ルークは別の意味で固まっていた。
「じぇ、いど？　その恰好……」
　ジェイドはいつもの軍服ではなかった。
　そう、言うなれば……正装の、バチカルの屋敷のラムダスも確かこういう服も持っていたハズだ。黒い執事のような……多少くだけてはいるが、一般の街を歩くには充分に違和感のある上流階級の装いをしていた。
　それに対してルークはいつものオートクチュールなのだが。
「あぁ。まぁ。折角自宅に帰ったので軍服を脱いでみました」
　パチン、と意味もなく片目をつぶってみせる３５歳。
　それにしたって。もう少し目立たない恰好ができないのだろうか。
「似合いませんか？」
　そんな事はないとブンブンと首を振る。だけれども何と言っていいのやら。
　格好良いのだ。文句のつけようがないのだ。それに比べて自分の服装が旅衣装のままで汚れているとか荷物の中から子爵服を出してきたら良かったのか、頭の中がごちゃごちゃだった。
「良かったです」
　ルークの様子にジェイドは安堵の溜息をもらした。
「さ、じゃぁ折角なので待ち合わせの場所まで、歩きましょうか」
　ぽーっと見とれいているままにジェイドがルークの手を取って歩き始めた。
　これではまるきり大人と子どもの散歩である。
「ジェイド、さ。その恰好、本当にどうしたんだ？」
　やっとチャックのしまっていた口を開く。
　すると、前を向いて歩いていた男はこちらを振り返りニンマリと笑った。
　それはそれは、嬉しそうに。
「夜、想い人をデートに誘うんですよ？　ここはきちっとしませんとね」





終。




なにやら。
まとまりないですけど。
深夜デート。で。やたら張り切るおっさん（笑）
ファンダム２の執事服を簡略したようなスーツっぽいのをご想像下さいませー。
……ファンダム２ネタもいつか書きたいです、ね。